“適切な自己表現”を実践するときのポイント
以下に、適切な自己表現をするときに注意したいポイントと心構えをまとめます。これらを参考に、コミュニケーションを取る際に適切な自己表現のしかたを実践してみましょう。
4要素は常に順番通りである必要はなく、自己表現の中にそれぞれの要素が入っていることが大切
適切な自己表現のための4要素は、必ず順番通りに言わなければならない、というわけではありません。状況によっては、先に主張を言ってから、客観的状況や自分の主観について補足した方がコミュニケーションがうまくいく場合もありますし、客観的状況に共通理解が持てていれば、その説明をはぶいても良い場合もあるでしょう。ただし、この場合、“相手に伝わったつもり”や“相手を理解したつもり”にならないよう注意が必要です。情報を省略すると、それだけ誤解を生む可能性も高くなります。
どこまでゆずれるか、そもそもどうしてそれを伝えたいのか、自分の主張や線引きを明確に
『適切な自己表現を意識して主張したのに、なかなか自分の思うようなコミュニケーションがとれない』と相談される人がいます。その際に振り返ってみていただきたいのは、自分の中で伝えたいことが明確になっていたかどうか、という点です。特に、相手との話し合いの中で相手の意見に流されやすいと感じていて、それがストレスになりやすい人は、どれくらい自分の伝えたいことが明確になっているのか、また、自分の中ではどこまでがOKでどこからがNGなのか、といった点について事前に整理しておくようにしてみましょう。
話の内容だけでなく、非言語でのメッセージも大切
相手に何かを伝えるときは、メッセージの内容だけでなく、話すスピードや声の大きさ、表情や態度といった非言語の要素もとても重要になります。高圧的で攻撃的な態度や、 必要以上にへりくだって相手を過度に持ち上げるような態度では、言語でのメッセージがいくら適切でも非言語でのメッセージで相手に悪い印象を与えかねません。言語だけでなく、非言語でも“適切な自己表現”を意識しましょう。
代替案はあくまでも代替案であることを忘れずに
代替案を先に(簡単に)言ってしまったら逆に本来の主張が通りにくくなるかもしれません。基本的には代替案はあくまでも主となる意見が通らなかったときのものなので、代替案を伝える場合にはタイミングも考慮しましょう。
*先にハードルの高い主張を伝えて、相手に一度譲歩させた上でそれよりもハードルの低い主張(実際に通したい主張)を伝える、というテクニックもあります。
相手の理解と自分の主張にズレがないか確認
伝わったと思っていたのに、実は全然伝わっていなかった、という経験をしたことはありませんか?上司や先輩が部下や後輩に指示を出したときなどにしばしば起こるコミュニケーションのズレですが、このような事態を避けるには、お互いの理解を確認することが大切です。『相手に伝わった』、『相手を理解した』と思い込まずに、お互いの理解の程度をそのつど確認するように心がけましょう。
精一杯の自己表現をしても、良い結果を得られない場合もある
適切な自己表現を心がけ、精一杯伝える努力をした場合でも、相手に伝わらなかったり、逆に相手に攻撃的な反応をされてしまう場合も起こりえます。その場合には、『やっぱりダメだった。無駄だった。』と考えるのではなく、『やれるだけのことはやったのだから、今回は仕方ない。』や『次の機会にはもっと上手くやるにはどうすれば良いか。』という点に目を向けられることが大切です。 『言ってもどうせ無駄だから、それなら最初から言わない方がマシ』という思い込みにとらわれないよう気をつけましょう。