以下に、“良い話の聞き方”を実践するときに注意したいポイントを整理します。これらを参考に、日々のコミュニケーション場面での“良い話の聞き方”の実践を通してスキルアップに取り組んでみてください。
相手の話に意識を向け、受容的、共感的な態度で話を聞く
傾聴の基本は、相手の話に興味や関心を持ち、相手の話に意識を向けて積極的に話を聞くことです。そして、その際には相手の話を簡単に否定せず、“この人はこう思っているんだな”という点を大事にしてそのままを受け入れ、相手の喜怒哀楽の感情をすこしでも共有しようとするような姿勢でのぞむことが必要となります。
これは、ただ単に興味本位で相手の話をほじくり返したり、質問攻めにして自分の聞きたい話だけを聞く、ということを意味しているのではありません。相手には相手の話すペースがあるので、そのペースに合わせて話を聞くことが大切です。そのうえで、“良い聞き方の具体例”にあるような方法で、“私はあなたの話を聞いているよ”というサインを言葉や態度で示すようにしましょう。
常に「良い聴き方」をする必要は無く、むしろ無意識に「悪い聴き方」をしてしまわないように気をつける。
“良い聞き方”や“悪い聞き方”の例をみると、“自分はたいていは良い聞き方をしている”とか“悪い聞き方なんてしないよ”と思われる人もいらっしゃるかもしれません。
確かに、会話のなかで意識的にあえて悪い聞き方をしている人は少ないでしょう。でも、意識してはやっていなくても、無意識のうちにやってしまっている、ということはないでしょうか?例えば、部下に頼んでいた資料を部下があなたのところに持ってきた時に、パソコンを操作しながら『そこに置いておいて』とだけ言って終わらせる、といった対応をしたことはありませんか?
ささいなことですが、いったん作業の手を止めて、部下の方に姿勢や視線を向け、『ありがとう、ご苦労さま』などと一言添えて直接資料を受け取る、これだけで相手に与える印象はずいぶん変わってきます。そして、このようなささいな行動の積み重ねが、結果的に人間関係を良い方向へと導いていくことにつながります。
しかし、常に良い話の聞き方をしようとしていると、それだけで疲れてしまうかもしれません。最初は、“なるべく良い話の聞き方をするぞ”という意識を持つことが重要で、そのうえで自分の出来る範囲で実践してみるようにしましょう。少なくとも、日頃の自分の話の聞き方を振り返ってみて、自分がされたら嫌な話の聞き方はしないようにしましょう。